金属3次元積層造形の際に現れる微細欠陥を造形中に見つけ出す材料評価技術について検討した.造形用のレーザ光を高繰り返しのパルスにすることにより発生する超音波を計測し,表面近傍の模擬欠陥を画像化した.さらに,造形中に超音波計測ができるチャンバーを自作し,基礎的な超音波計測実験を行った.また,機械学習を援用した欠陥画像化について,波動伝搬シミュレーションにより得られた超音波波形を利用して,検討し,これまでの損傷画像化と同等程度の結果が得られることを確認した.
金属3次元積層造形では内部の微細欠陥が懸念され,適用拡大のためにはその検出技術が必須である.本研究は,造形中の対象物にレーザを照射した際に発生する超音波を用いた内部損傷の検出を目的としている.そのために,超音波計測が可能な3次元積層造形チャンバーの開発,模擬試験体による損傷画像化実験,機械学習を用いた新しい損傷検出技術を検討する.
(1)μmオーダーの微細欠陥検出技術の確立
チタン合金(Ti-6Al-V)製の30 mm×20 mm×10 mmのブロックの表層から0.125 mmの位置に模擬的な空隙部を入れた模擬欠陥試験体を用意し,損傷画像化実験を行った.模擬欠陥は直径0.2 mm〜1.0 mm,深さ方向長さ0.5
mmの領域を未溶融部となるように設定して3次元積層造形によって作成したものである.
最も小さい直径0.2
mmでは明瞭な画像が得られなかったが,0.3 mm以上であれば,欠陥位置に明らかな画像が得られた.
・ 超音波による金属3次元積層造形のプロセス中モニタリング,山ア惇史,森直樹,林高弘,日本機械学会関西支部 2021年度関西学生会卒業研究発表講演会